認定栄養ケア・ステーション「ぴんぴんキラリ☆」の裏側インタビュー

川又 ひとみぴんぴんキラリ☆リーダー

岡本 英次代表取締役

食品加工メーカーが母体となる全国初の認定栄養ケア・ステーションが、 2017年11月23日、ここ愛知県豊川市にオープンしました。

店舗名は「ふれあいまちの健康ひろば ぴんぴんキラリ☆」。

医療・福祉分野を母体とするケースが多い中、食品加工メーカーであるトーアス株式会社がこの取り組みを開始する背景となった「想い」をインタビューします。

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Profileプロフィール

  • ぴんぴんキラリ☆リーダー

    川又 ひとみ

    出身地:愛知県豊川市 特技:駄洒落 座右の銘:笑う門には福来る
  • 代表取締役

    岡本 英次

    出身地:愛知県名古屋市 特技:工作 座右の銘:因果倶時

インタビュアー(聞き手)

株式会社巡の環浅井峰光※開設にご協力いただきました

「栄養ケア・ステーション」開設への「想い」

聞き手:

改めて、栄養ケア・ステーションを開設するに至った「想い」をお聞かせください。

「この地域に恩返しする方法をずっと考えていた」

岡本:

約20年前、私が入社して数年後に、先代社長と共に経営理念を文章にしたんですね。( 経営理念はこちら )この経営理念には、一文ずつに強い想いが込められているんです。例えば、最初の「全社員の創意と活力により」というところ。

実は昭和54年、いまから38年前にそれまで合弁で資本参加していた企業が離れるタイミングで、先代の社長は会社をたたむ苦渋の決断をして、社員に話をしたそうです。その時、全社員が会社継続を熱望したことが、今のトーアスの原点となっています。

そんな、歴代社員さんの多くは、この豊川周辺に住んでいる方。

そして当社は元々「東洋アスパラガス缶詰株式会社」という社名でした。

地域の農家の皆さんに、手間のかかるホワイトアスパラガスを栽培していただいたおかげで創業できた会社です。

だからこそ、経営理念の3行目に入れている、「地域社会に貢献する」というのは、雇用と納税に加えて、どうしたらもっとこの地域に貢献できるかと、ずっと考えていることなんです。

ここ数年は、日本最大級のまちおこしイベント「B-1グランプリ」に豊川市の食品メーカーとして協力させていただいています。

これも、なにか本業の強みを生かして地域社会に貢献できないかと考えてのことでした。

当社は食品の中でも特に、流動食や生協さんのドライパック大豆など、「栄養」を届けることが得意です。

そんな中、日本全体に高齢者がどんどん増える一方、医療費削減のため病床数は減り、自宅で自ら栄養管理をしなくてはならない時代になってきていることを知りました。

ここ豊川も、もちろん同じ状況です。

これから豊川でも急増する高齢者の方々が、自ら栄養管理をしなくてはならない状況のなかで、「栄養」を届けることを本業にしている私たちができることとして、「栄養ケア・ステーション」の設立を決めました。

「社員の創意と活力がどんどん発揮される環境づくり」

川又:

私がこのプロジェクトのリーダーを任された時、正直「もっと栄養の知識がある人の方がいいのでは?」と思いました。

でもよくよく考えてみると、私がリーダーとして選ばれた理由は、きっと「このプロジェクトを通じて、みんなで成長していってほしい」っていう期待をもらったんじゃないかと思うようになりました。

経営理念にある「地域貢献」はもちろんですが、そのためにもすべての社員が持っている「創意と活力」が、どんどん発揮されるような環境を作りたいです。

「ぴんぴんキラリ☆」の向かっていく未来について

聞き手:

「ぴんぴんキラリ☆」オープン後の展開として、その先に、このプロジェクトがどう羽ばたいていってほしいですか?

「楽しさが口コミで広がっていく、期待されるステーションに!」

岡本:

栄養ケア・ステーションは、ただ栄養相談を受け付けているだけでは、人はあつまらないです。

「楽しい・おもしろい・あの人がいるなら」って、人とのふれあいの楽しさがあって、ついでに、気軽にできる栄養相談という形を目指したいです。

「ぴんぴんキラリ☆」に行けば、何か楽しいことがあるって期待されるようなステーションになってほしいです。

一方で、栄養相談は専門領域でもあるので、経験豊かな管理栄養士の藤野先生から学ばせてもらいつつ全社員がそれぞれの持っている「得意」を活かして、「ぴんぴんキラリ☆」の店舗を使って、新しいイベントをどんどん作っていってほしいですね。

自分の得意を活かして、地域に貢献することを、楽しい仕事のひとつとして、社員みんなに体験してほしい。

受託中心の食品メーカーというのは、通常お客さんの顔が見えにくいところもあって、仕事を通じて直接そこにいるお客様に喜んでもらうっていう体験は、社員みんなにとって、とてもいいことなんじゃないかと思っています。

「社会貢献しながら、自分たちも楽しく成長したい」

川又:

そうですね、店舗の未来とは少し違うのかもしれませんが、私は「繋がる」をテーマにしています。

普通なら、社内でいちばん栄養分野の知識がある人がリーダーとなって、大枠の方向性も経営陣で決められた状態で仕事が始まるはずのところを、今回は、ほとんど経験も知識もないメンバーに、すべてを任せてもらって、みんなで達成に向けてがんばっています。

このプロジェクトを通じて、社員と社員、会社と社員、会社と地域の繋がりが強くなって、社員の成長、会社の成長、地域の発展、全てに繋がればいいなと思っています。

今、準備している中でもメンバーのみんなは、「自分の意見が、どんどん実際に実現していく」という経験をしています。地域社会への貢献を通じて、一方では、自分たちも楽しく成長していけたらと思っています。

今は、「やりたい!」という想いで集まったメンバーですが、いつか、この流れが社員全員に広がっていくことを目標としています。そのためにも、まずは、ウチの社員さんにとって、ふらっと休憩がてら来たくなるような場所にしたいです。 その先に、社員さんのご家族にお勧めしてもらいたくなるような場所にしていきます。

「働き方改革」とプロジェクトについて

聞き手:

世の中では、「働き方改革」と言われていますが、働く時間もさることながら、本命は分断されて見えにくくなってしまった「仕事のやりがい」をどう回復していくかというところにあるように思います。このプロジェクトは、そういった「働き方改革」の文脈の中でもとても大切なプロジェクトだと思うのですが、なにかお感じのところはありますか?

「いろんな良さを持つ社員に、自由に力を発揮してほしい」

岡本:

中小企業なので、経営者が自分の思い通りにやろうとしたら、良い悪いは別として、いわゆるワンマン経営者として、思い通りにできてしまいます。

でも私の場合は、これからの時代は、本当に社員の力を借りるしかないと痛感しているんです。

全ての社員は私にない良さを持っています。

最初は戸惑うかもしれないけれど、自由にやってもらうことで、自由にやるときに付いてくる責任についても、やってみたら面白いって形で体感してもらえると思うんです。

人間、生まれてきたからには充実した人生を送りたいじゃないですか。

それが、仕事でも味わえたらこんなにいいことはない。

いろんな良さをもっている社員に、いろんな場面で、持っている力を発揮してほしい。

それは、すなわち「仕事のやりがい」にもつながると思う。全社員が自由に力を発揮して、地域社会に貢献する。

そのステージとして、「ぴんぴんキラリ☆」に期待しています。

「学校では教えてくれない『何か』を学んでいる」

川又:

難しい質問ですね…

リーダーになって、何度も壁にぶつかって、まわりに負担ばかりかけて、100回くらいリーダーを辞めようと思いました。そんな中、あるメンバーがかけてくれた言葉にハッとしました。

「川又さんひとりで出来ることは確かに大したことないかもしれない、けれど、メンバーのみんなに気持ちよく力を発揮させることができるのは、きっと川又さんしかいないんじゃないかな…」

その時、経営理念の「全社員の創意と活力」という一文が頭に浮かびました。

私にできることは、メンバーの創意と活力がどんどん発揮される環境をつくること。

人生の中でとても長い時間を過ごす会社で、メンバーが毎日楽しく、気持ちよく仕事できて、充実していたら、それはきっと大切な家族との大切な時間を、もっと大切にすることにも繋がるのだと思います。

「働き方改革」なんて大げさなものではないけれど…。

人と人が触れ合って、人の想いで繋がりながら、実際にやってみないとわからないこと。

そんな学校では教えてくれない「何か」を学んでいるように思います。

栄養面は専門家のお力をお借りしながら、私たちは、気軽にお話しできる雰囲気をつくって、来ていただいた方の気持ちが少しでも明るくなることで、地域社会に貢献出来たらいいなと思います。